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都度払い(チケット)制導入はあり?なし?LTVに与える影響を分析

都度払い(チケット)制導入はあり?なし?LTVに与える影響を分析
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この記事でわかること

  • ・月額制と都度払い(チケット制)の収益構造とLTVへの影響の違い
  • ・都度払い導入が会員獲得・継続率・客単価に与えるプラス・マイナスの効果
  • ・どんな業態・ターゲットに都度払いが向いているかの判断基準
  • ・月額制と都度払いのハイブリッドモデルの設計方法と事例
  • ・都度払い制導入時に必要なシステム・運用フローの変更点

「月額制に加えて都度払いを導入すべきか」——この問いは、新規会員の獲得ハードルを下げたいオーナーが必ず直面する意思決定です。都度払いは入会のきっかけを増やす一方で、月額会費への転換率・LTV(顧客生涯価値)・収益の安定性に複雑な影響を与えます。

本記事では、月額制と都度払い制の収益構造の違いをLTVの観点から数字で比較した上で、どんな業態・ターゲットに都度払いが向いているかの判断基準を解説します。

月額制と都度払い制の収益構造の根本的な違い

比較項目月額制都度払い制
収益の安定性高い(毎月一定額が自動引き落とし)低い(来店しない月は収益がゼロ)
会員1人あたりのLTV高い(継続期間×月会費)低い(来店頻度×都度料金)
入会ハードル高い(月額固定費への心理的抵抗)低い(使いたい時だけ使えるという安心感)
固定費との相性良い(毎月の固定費を安定した収益でカバーできる)悪い(来店数が少ない月は固定費を賄えない)
ヘビーユーザーへの影響月20回通う会員も月1回の会員も同じ月額を支払う通えば通うほど支出が増えるため、ヘビーユーザーが不満を持つケースがある

月額制は「使わなくても払い続ける」という会員側のコストが存在するため、心理的な退会トリガーになりやすい半面、オーナー側には安定収益をもたらします。都度払いは会員側のリスクが低い反面、オーナー側の収益が来店数に完全に連動するため、固定費の重いジムには構造的に向きません。

LTVシミュレーション|月額制 vs 都度払い制

同じ顧客が月額制と都度払い制のどちらを選んだ場合に、オーナーが得られるLTVがどう変わるかを比較します。

前提条件月額制都度払い制
月の来店回数8回/月8回/月(同じ)
1回あたりの費用月6,000円(1回750円相当)1回500円(LifeFit都度払い相当)
月次の支払額6,000円4,000円(8回×500円)
継続期間12ヶ月12ヶ月(同じ)
12ヶ月のLTV72,000円48,000円
LTVの差月額制の方が24,000円(33%)高い

来店頻度・継続期間が同じでも、月額制の方がLTVが33%高い計算になります。さらに、都度払い会員は来店しない月の支払いがゼロになるため、繁忙期・夏場・年末年始などの来店頻度が下がる時期に収益が急減するリスクを抱えます。

都度払いが「入会ハードルを下げる」効果の実態

都度払いを導入する最大の目的は「月額会費への心理的抵抗を下げて新規顧客を取り込むこと」です。しかし、この効果には重要な留意点があります。

効果の種類内容判定
体験入会・お試し利用の促進「月額を払う前にまず試したい」という層を取り込める○ 効果あり
月額会費への転換都度払いで来店した顧客が月額会員に移行する割合は、業態・フォロー施策によって大きく異なる△ 設計次第
ライトユーザーの固定化「月2〜3回しか来ない」というライトユーザーが都度払いに留まり続けるリスクがある× マイナス効果の可能性
ヘビーユーザーの月額離脱月額会員が「都度払いの方が安い月もある」と気づいて月額を解約するリスクがある× 要注意

都度払いを導入した後に月額会員への転換を促す「ナーチャリング設計」がなければ、都度払いユーザーがそのまま低LTVの利用者として定着し、オーナーにとって不利な状況が続きます。都度払い導入と同時に「都度払い→月額転換を促すLINEシナリオ」を設計することが必須条件です。

都度払い導入が向いている業態・向いていない業態

項目向いている向いていない
業態パーソナルジム・ピラティス・ヨガスタジオ・グループレッスン型24時間無人ジム・月額固定費が高い大型ジム
理由セッション型の業態は都度払いが自然なビジネスモデル。来店ごとにサービスを提供するため都度課金との親和性が高い固定費(家賃・光熱費・マシンリース)が高い24時間ジムでは、来店しない月の都度払いゼロが資金繰りを直撃する
ターゲット顧客来店頻度が不規則・出張が多い・まず試してみたい層週3〜7回通うヘビーユーザーが中心の業態(都度払いの方が割高になり不満につながる)

ハイブリッドモデル(月額制+都度払い)の設計方法

月額制と都度払いを併用するハイブリッドモデルは、正しく設計すれば新規顧客獲得と既存会員のLTV最大化を両立できます。重要なのは、都度払いが月額会費より割高になる価格設計にすることです。

プラン料金1回あたりのコスト設計の意図
月額プラン(通い放題)6,000円/月週3回通うと500円/回ヘビーユーザーにとって最もお得
都度払いプラン800〜1,000円/回そのまま月額より1回あたりのコストが高くなる設計
チケットプラン(10回券)7,000〜8,000円700〜800円/回都度払いよりお得だが月額より割高。月額への転換を促す中間プラン

この価格設計により、「月3回以上通うなら月額の方が得」という状況を作り出し、都度払いユーザーの月額転換を自然に促せます。逆に都度払いを月額より安く設定すると、月額会員が都度払いに乗り換える「逆転現象」が発生するため絶対に避けてください。

都度払い導入時に必要なシステム・運用フローの変更点

変更項目内容
決済システムの対応確認現在の会員管理システムが都度払いに対応しているか確認。対応していない場合はシステム変更またはSquare・Stripeなどの外部決済ツールとの連携が必要
入退室管理との連携24時間無人ジムの場合、都度払いユーザーの入退室権限を「支払い済みの日時のみ」に制限するシステム設定が必要
月額転換のLINEシナリオ設定都度払い3回利用後に「月額プランの方がお得です」というLINEを自動送信するシナリオを事前に設計
売上管理の変更月次売上の予測が難しくなるため、都度払い収益を月次でモニタリングする管理表の整備が必要

まとめ|都度払いは「入口」として設計し「出口」を月額に設定する

都度払いは新規顧客の入会ハードルを下げる有効な手段ですが、そのまま放置すると低LTVの利用者を量産するリスクがあります。都度払いを導入する場合は「都度払いはあくまで入口であり、月額転換が出口」という設計思想を持ち、月額より割高な都度払い価格の設定・月額転換を促すLINEナーチャリング・転換率のモニタリングをセットで実施してください。

LINEを使った自動ナーチャリングの具体的な設計方法は、LステップLINEで会員定着率を20%上げる方法をあわせてご確認ください。

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